こんにちは!
台湾在住のryo(ryo_lfmp)です。
アカデミー賞にエントリーしたのち、「オスカーレースで見過ごせない長編アニメ6作品」の一つに選ばれたり
東京アニメアワードで優勝した台湾の長編アニメーション映画「幸福路上」をご存知でしょうか?
「幸福路上」は2018年に台湾で公開されたのち、日本や海外でも話題になったアニメーション映画なのですが
私は、先日やっと観る機会があり、観ることができました。
ニヤニヤしたり、ボロ泣きしたり、感動したりと忙しい2時間でしたが、期待以上にものすごく良い映画でした…っ!
特に、
・台湾で暮らしている方
(台湾での生活が長く、台湾のことをよく知ってる方は特に「ああ、わかる」と共感しそう)
・台湾を知りたい方
にオススメしたい映画です。
あらすじや感想を書いていきたいと思います!
台湾アニメーション映画「幸福路上」とは?
台湾アニメーション映画「幸福路上」は、冒頭でお話したように、2018年に公開されてから、瞬く間に世界で人気になりました。
台湾国内の賞を総なめしたあと、日本や韓国、ドイツなど各国の映画賞も受賞し
アカデミー賞にまでエントリーされました。
普段台湾の映画をそこまで観るわけではないのですが、ここ数年で国際社会でこれだけ有名なアニメーション映画が出てくるのは台湾にとってもかなり快挙なのはないでしょうか。
アニメーションは、親しみやすい可愛らしいキャラクターで描かれているのですが、
ストーリー性を重視した2Dで、しかも全て手書きで描かれているんだそうです。
ころころと場面が変わるときの絵が可愛らしく、美しくって…2D映画の素晴らしさを感じました。
台湾アニメーション映画「幸福路上」のあらすじ
物語の主人公は、1975年生まれ。
台北で生まれ育ったのち、アメリカに渡り米国人と結婚したアラフォー女性です。
(たぶん物語上は、30代くらいの設定)
アメリカで悶々としつつも忙しい毎日の中、おばあちゃんの訃報を受け取ったことで、台湾行きのフライトを取ります。
主人公は、アメリカ人と国際結婚し、仕事もあり、他人から見ると幸せな人生を送っているように見えます。でも心の中には様々な葛藤や悩みがあります。
台湾に一度戻ったことで
自分の人生を、子供の頃から今に至るまでを回想し、前を向いていくお話です。
物語の進み方としては、
大人の今の自分→(回想)幼少期→今→(回想)学生時代、と徐々に今の自分とマッチしていく感じです。
この回想過程で、1975年生まれの台湾人が経験するであろう苦悩(民主化運動からの民進党初当選、そして失望、911大地震)が描かれています。
台湾人はもちろん、台湾人に寄り添った生活をしている在台日本人の心にかなり響きます。
ここから先はネタバレを含む個人的な感想(感動したポイント)になりますので、結末を知りたくない方は↑リターンしてください。
(ネタバレ)「幸福路上」を観て感じたこと
台湾人は学校で「國語(北京語)」を話すことを強要されるのか
1975年生まれの主人公とその家族は、台北育ちですが家で主に台湾語を話します。
近所の人も、学校の友達もみんな普段使っているのは、方言である「台湾語」です。
台湾語は台湾で流通しているだけでなく、中国の福建省やシンガポール、マレーシアなどでも通じることがあります。
それは台湾語が中国の福建省を中心として普及した「閩南話」をベースにしているから。
世界に広がる華僑の人たちは、福建省など海沿いから海外に出た人が多いので、「閩南話」が話せる人が多いのです。
台湾語は、閩南語とも福建語とも呼ばれたりします。
この「台湾語」を、物語で小学校の先生は「もう小学校に上がったのだから方言を使うのはやめなさい!国語を話すのよ!」と杖(ムチ?)で机を叩きながら
それはもうすごい声のボリュームで子供達を叱ります。(当の子供達は「HAHAHA〜変なのぉ〜なんでぇ〜」と無邪気に笑いながら国語を覚えます)
学校で「方言を使わずに、国語を使いなさい」と言葉を正されたことを、子供達は家に帰って両親に話すのですが
このとき子供が何度教えてもなかなかうまく国語が使えないお父さんが、少しバカにされているように表現されているのも興味深かったです。
例えば、日本の子供達が小学校で「これからは英語が大事だからちゃんと覚えなさい!」と先生に教えられ簡単な英単語を覚えて帰ってくる。
その簡単な英単語を年配の家族が知らないとき、子供は得意になって教えようとするし、年配の家族は「教養がない」みたいな印象を受けますよね。
そういう感覚で、物語では台湾語→国語(北京語)の教育を行なっていて
しかも強制されていくので、大人になるとどんどん話せなくなっていくのです。
これは、私が台湾で生活する上で台湾人にずっと感じていたことなので、観ていてとても興味深かったです。
(台湾語しか話せない=学校教育をきちんと受けていない=経済都市から離れた南部を中心に、貧困でローカルなお年寄りのイメージが蔓延っている、と正直感じます。)
優しいけどちょっと頼りない台湾のお父さん
現代の台湾人男性は、とにかく優しいけれど、ちょっと頼りないイメージがあります。(もちろん人によりますが)
そんな現代の台湾人の面影を、「幸福路上」主人公のお父さんから見つけることが出来ました。
とにかくおしゃべり好きで口うるさく、よく働き言葉キツめのお母さん。
子供に優しくて、お母さんにダメと言われてもお小遣いやお菓子を買い与えてしまい、もらったお小遣いは宝くじなど博打に使ってしまうお父さん。
浪費癖はともかく、強いお母さんと優しくて少し弱いお父さんが「台湾あるある」すぎてクスッと笑ってしまう箇所がたくさんありました。
典型的な台湾の「阿嬤(アマー)」
台湾語でおばあちゃんを「阿嬤(アマー)」と呼ぶのですが、物語ではアマーが鍵となっています。
花蓮に住むアマー(おばあちゃん)は、まさしく典型的な台湾おばあちゃんそのもの。
「台北はつまらないね。山が少ない」と発言したり
檳榔と孫にお使いさせて、嫁(お母さん)に怒られて少しシュンとしたり。
台湾文化をよく知っているからこそ、どのシーンでも「わかる・・・」と共感してしまい、涙が出てたまらなかったです。
親戚のおしゃべり攻撃は、台湾人もウザいと思っている
主人公がもっとも台湾を離れたいと思った理由、この辺も現代の台湾社会の問題や若者の心境の変化を表していて面白いと思いました。
今回、おばあちゃんが亡くなったことで久しぶりに実家に帰り、親戚の集まりに参加した主人公。
親戚は、彼女の顔を見ると
「アメリカの生活はどう?台湾よりもいいでしょう?」
「給料いくら貰ってんの?」
「いつ子供産んでお母さんに抱かせてあげるのよ?」
「子供は早く産んだほうがいいわよ。結婚して何年だっけ?漢方医紹介するわよ。明日行く?」
など、悪気はないけどプライベートに踏み込んだ質問祭り。
この場に耐えられなくなった主人公が、わざと理由を作って早くその場から離れようとする場面なんて
「ああ〜、旧正月あるあるだわ」と思わずにはいられませんでした。
「幸福路上(オンハピネスロード)」は、1人の少女の物語を通して台湾の歴史や社会をよく知ることのできる映画
他にも、感じたことはたくさんあります。
主人公をアメリカに引き寄せた数多くある理由も、「台湾あるあるだな」と思えて面白かったし
1975年から現在の台湾に起きた民主運動、民進党の初当選、そしてバブルの破綻、台中の大地震など
1人の少女の人生を通して、台湾で起きた様々なことを台湾人の目線で知ることが出来ます。
まとめ
物語の中でアマー(おばあちゃん)がずっと主人公に教えている「要用心的眼睛看事情(心の眼で物事を見るのよ)」という言葉に真理があると感じました。
何事も表面から見えるものだけに惑わされてはいけない
自分の幸せは、他人の誰にも測ることができない
自分が幸せだと思う道を、自分自身で選んでいったら良い、というメッセージ性を感じました。
ものすごく良い映画なので、周りの台湾人や日本の家族や友達に絶賛おすすめしているところです。
私はおしゃべりで、感じたことをすぐ周りの人に広める(というと言い方は良いけど半ば押し売りw)クセがあるので、迷惑にならないように気をつけます。笑
それでは、たのしい週末を〜♪
【出典】
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