台湾を拠点に生活をしはじめて6年のryoです。
私は台湾の企業にフルタイムで勤め、1年の大半を台湾で過ごしており、日本国の「非居住者」なので、住民票の「国外転居届」を出して(日本から住民票を抜いて)台湾の大使館(国交がないので、正しくは大使館の役割を果たしている機関)に在留届を出しています。
これは海外移住した日本人にとってはいたって普通のこと…なのですが、
今年に入ってから日本企業から業務委託で仕事を受けるようになったり、コロナの補助金などが重なり、日本に住民票を置いたほうがいいかも、などと思い始めました。
というわけで、海外在住の日本人が「住民票」を残すメリットとデメリットについて改めてまとめてみました。
海外移住者が住民票を日本に残すメリット
住民票を日本に残す=日本の居住者として国民年金や税金を収める必要があり、その代わりに年金(と一言にいっても老齢年金以外に障害・遺族年金もあり奥深い…)や健康保険という社会保障を受けることができます。
失業保険とか、生活保護とか、日本を離れてみて「ああ、私日本政府に守られてたんだなあ」と気付きました…。
国民健康保険に加入できる
住民票を日本に残すメリットは何といっても日本の国民健康保険に加入できる点。
日本には「国民健康保険」という素晴らしい保険システムがあります。学生のときは両親の扶養から、社会人になっても当たり前に持っていた「保険証」
日本の「非居住者」になると加入できなくなっちゃうんですね。私は「非居住者」になっているので、日本の国民健康保険には加入できず台湾のものに入っているのですが
日本に長期で出張するときなどは、万が一病気になったら自己負担か…と思ってしまいなんだか気持ちが沈みます。
実際は会社がかけている海外保険も、台湾で加入している保険も使えるので自己負担にはならないんですけどね、でも「日本人じゃない」みたいでなんだか落ち込みます。
でも、普段住んでないのに年に何回か帰るときだけのために月々保険料払うのってどうなの?っていう人もいると思います。だけど、日本での収入がなければないほど、保険料は激安になります。
年齢にもよるのですが、日本の国民年金の保険料の計算方法は、
(前年の所得)ー控除額33万円=x 5〜10%(自分の住む地区による)なので、例えば海外在住のフリーランスの所得が100万円だとすると(所得=収入ではないです。経費や引けるもの諸々引いて100万だとする)-33万円 x 5%(だとして)=年間3万3500円です。
1ヶ月で計算すると、たった2,700円程度ということになります。
でも年に何回も帰らないのに毎月2,700円も払うの?と思う人もいるかもしれません。
だけど、妊娠を希望している日本人女性は日本での出産と一時金の申請を考えることもできるし、
癌など重大な病気にかかった時、真っ先に日本に帰って治療を受けられるだけでなく高額療養費の申請もできるんですよ…。
海外移住つったって正直「その国に骨を沈める」とは思ってないからねぇ
出典:高額療養費
銀行口座などを新しく作ることができる
銀行口座は、出国前に作ったものがあればあまり問題にはならないのですが、住民票を抜いてしまうと、新しい口座を作れないことがあります。
ほとんどの銀行の口座開設条件が、「日本居住者」だからです。
そもそも窓口に行ったり現地で煩雑な手続きがあるので住民票があってもなかなか海外に住みながら銀行口座を作ることはできないのですが、ネットの申し込みでも住所記載する必要がありますからね。
給付金など支給される場合がある
今回コロナの給付金が、日本在住者一人あたり10万円支給されましたよね。
私は住民票を日本から抜いていて、住民税を支払っていないし、所得税も大して払っていないので、給付金がもらえなくても仕方ないんですけど…日本に何年と住んでいない、外国人留学生ですら給付金をもらえるのに、日本国籍で海外に住んでいる自分に申請書が届かなかったのはやっぱり寂しかったです。
台湾でも、コロナ給付金のようなお得な商品券が配られて話題になったのですが、台湾政府はこの社会保障が受けられる人々を、断固として「台湾国籍の国民と、台湾国民と結婚した新移民に限定する」と発表したんですよね。
だから、台湾人パートナーと籍を入れていない私は日本と台湾の両国で、コロナの社会保障の恩恵を受けることが出来ませんでした。
生活に困っていないから期待すべきじゃないし、仕方ないんですけどね。
今後も「非居住者」だから出来ないことが色々あるんだ、と思ったら、日本と台湾は飛行機片道1時間(沖縄なら)と近いし、いっそのこと住民票戻しちゃおう!と思いました。
海外移住者が住民票を日本に残すデメリット
メリットがあれば、デメリットもある。というわけで、海外移住者が日本に住民票を残すデメリットについても考えてみました。
アジアのように日本から近い国ならば何かあったときにすぐに帰れますが、遠くに住んでいると、やっぱり「デメリット」のほうが目立つんじゃないかなと思います。
国民年金の支払い義務が生じる
「国民年金」の支払いは、日本に住むすべての人の「義務」です。なので日本に住民票をおくと、毎月1万7000円の国民年金を支払う必要があります。「未納」を無視し続けると、財産取り押さえなど大変なことになります。
ちなみに、「非居住者」も任意で加入することが可能なので私は任意で国民年金の支払いをしています。
こんなにお得な投資はほかに絶対ない!
住民税の支払い義務が生じる
日本には「所得税」のほかに「住民税」なるものがあり、国以外の地方に税金を納める必要があります。これも収入や各自治体によって異なりますが、源泉徴収と違ってあとから自身で納めるものなので、ちょっと気分が悪くなります(笑)。
一見すると、住民税の機能って何もないような気がしてしまうんですよね(笑)。
選挙に参加できない
住民票の転居届を提出したあと、海外に渡ったら「在留届」を提出する必要があるのですが(3ヶ月以上海外に滞在する場合は、現地の大使館に自身の滞在場所を伝えるのが、国民の義務)在留届を出すと、在外選挙に参加できます。
現地の大使館を通して、選挙に参加することができるんですね。でも、転居届を提出していないと、日本に帰ってしか投票することができません。
うーん、一票を大事にしたい人には大きな問題かもしれません。
戸籍謄本などの取り寄せができない
これも「選挙に参加できない」とちょっと似ているんですが、転居届を出して、現地の大使館に「ここに住んでいる」と認められる=在留届を出すと
現地の大使館が在外邦人の面倒をみてくれます。市区町村によりますが、例えば外国で公的な手続きを得たい場合(結婚・離婚・養子縁組など)、転居届を提出していれば、戸籍謄本などの必要書類を海外まで郵送してくれます。
でも、転居届を出していなければ「日本にいる」と思われているので、このようなイレギュラーな対応はしてもらえません。
まとめ
うーん。わりとデメリットも多いので、正直「どちらに生活の重きを置くのか」というのが重要ですね。
私は今のところ台湾で会社員をしているのですが、将来的には日台を1:2くらいのペースで行き来しながら生活したいなあと思っており、色々と考えていたところでした。
結局、
・会社員として台湾で社会保障の恩恵を受けるなら、住民票を抜く
・海外在住フリーランス として日本と台湾と半々くらいで生活ができる、しかも日本に会社(クライアント)があってしょっちゅう日本に帰るならば、住民票を残した方が便利そう
という感じですね。日本とどれだけ深く関わっていくのか、がポイントになりそうです。
とはいえ、転居届を出していても、開業届も青色申請もできるようなので、この辺も詳しく勉強しつつ、海外在住者が損しないお金の情報をこのブログでは共有していこうと思います。
それでは、また〜。
コメント
いつも楽しみに読んでいます!
デメリットとしては、海外居住者特権の日本でにtaxfreeもあるのかな?使ったことないけれど。使ってみるとあれこれお得なのかも。