日本では緊急事態宣言の延長が発表されましたね。
日本政府は、日本に合法的に3ヶ月以上住み、住所を持つ(住民票のある)すべての人に10万円の給付金を支給することを発表しました。
私は現在日本に住民票を置いておらず、台湾の現地企業で働き台湾で暮らしているので、残念ながら日本の恩恵にあやかれそうにありません。

日本の所得税も年金も払っているけど、いいとこ取りはできないってことで(あー住民票置いときゃよかった)
じゃあ台湾では、どんなコロナ保証があるのよ?と調べてみたら、1兆500億元(約6兆円)もの経済救済があることがわかりました。
そこで自分の記録用に、台湾行政院(日本でいう内閣府にあたる)の資料を読んで日本語に訳してみることにしたのですが‥これ超大変!全部訳す時間ない!(笑)
ってことで、とりあえず企業や中小企業への融資、産業への補助金などは置いておいて、労働者である私はどんな恩恵を受けられるのよ?ってことにフォーカスして書いてみました。
本当に困ったときに「知っている」と「知らない」の差って大きいですからね。
行政院の資料を参考にしているのですが、万が一翻訳として誤った表現があったらご指摘いただけると幸いです。
それでは、どうぞ〜。
コロナウイルスに対する台灣の経済救済措置、補償金額はいくら?
2019年の12月頃より中国の湖北省武漢で多発し、全世界にパンデミック的に広がっていった「COVID-19(新型肺炎コロナウイルス)」
台灣国内では、2020年1月21日にはじめて国外からの感染を確認しました。
コロナウイルスが世界中に蔓延していく中で、台湾政府は1月20日にいち早く、中央流行ウイルス対策指揮本部を設置し、ウイルスの感染と拡散防止の措置をすすめてきました。
台湾のコロナ対策は、日本のニュースでも連日話題にあがり、高い評価を受けていますよね。
とはいえ国土が小さく対外向けの輸出入が多い台湾では、世界情勢変化に伴い、様々な産業、事業が打撃を受けました。
私が働く会社も同様で、今年はリーマンショック時よりもひどい業績になりそうです。
台湾政府は3月18日の段階で、復興予算を初動で600億元と発表し、企業や個人を対象に経済的な救済措置を取ることを決めましたが、その後4月に入って金額を1兆500億元に大幅アップ。

台湾の1年あたりのGDPは約20兆元なので、1兆500億元は約5%にあたります。(1元あたり約3.6円)
経済救済措置は主に「融資」「就業」「税務」の3つ
予算1兆500億元のうち、経済救済措置とされているのが「融資」「就業」「税務」の3つです。
国民一律のバラマキは一切なく、簡単にいうと
・企業のために国家が利息を一定期間負担し、融資を保証する
・失業または収入が著しく減った国民に対して、労働保険から給与を補填する
・税金の支払いの猶予
などで、一応誰もが納得できる内容になっているかと思います。

困っている人にだけ救済措置が取られればいいと思う。台湾は貧富の差がすごく激しいし。
今回紹介するのは、このうちの「就業」ですね。
労働者として会社で働く人の保証について、みていきましょう。
コロナで失業した!労働者へのサポートは何がある?

台湾で就職していて、無給の休みを言い渡されたり、給与のカットを言い渡された、リストラされた人はここを読んでおきたい
給与が減った会社員への支援
企業は、コロナウイルスの影響による勤務時間の減少に関わらず、フルタイムの社員に対して基本給を支払う義務があります。(給与の満額じゃなくて、基本給=最低賃金です)
労働省は「再出発訓練」という、出勤が減り給与が減少した労働者を対象に、政府指導の就業訓練を受けることを推進しています。
訓練へ参加した場合、時給を1時間158元とし、最大で月120時間、金額にして1萬8,960元(8万円)の手当を受けることができます。
就業訓練の補助としては、350万元を用意しています。
また、3月27日には「安心就業計画」としてコロナで減給した労働者に対して、給与の50%分を、政府から最大月1万1000元を6ヶ月支給すると発表しました。
さらに、今後も状況がよくならず、就業保険失業率(就業保険失業率=失業給付金を受ける人÷失業給付金を受ける人+被保険者の人)が3ヶ月連続で1%以上であった場合、
「雇用安定措置」として労働保険にかけていた給与の50%を、就業訓練に参加した労働者は70%を給付金として出します。
そのほか、コロナの影響で労働時間が短縮した労働者に対して(6ヶ月以内に2ヶ月以上の労働保険に加入し、加入時の給与が2万3800元以下だった労働者に対しては)「安心即時就業」として政府から仕事の機会を与えるとしています。
給与は1時間158元(600円)、最大で6ヶ月間、毎月最80時間まで働くことができます。
ややこしくなってきたので、↓簡単にまとめます。
簡単にまとめると
・正社員なら、雇われている限りはどんだけ仕事がなかったとしても最低賃金の2萬3800元(8万5000円)が原則保証される
・人によって、政府の給付金+1万1000〜1万8,960元が追加されるので、月収は3万4,800〜最大4万2760元(12万円〜15万円)の収入に落ち着く可能性あり

新卒の月収が3万元(11万円)だから、この状況下で4万元以上貰えるとかありえないと個人的には思うんだけど
リストラを受けた失業者への支援
現存する失業給付金以外に、扶養している子供に対する就学補助金も増加。
学費を最大1人2万4000元まで補助。(台湾の学校は二期生だけど、2万4000元といえば大学の一期の学費くらいの金額ですね。)
またコロナの影響による再就職を懸念し、雇用主には即日解雇ではなく、解雇の30日前に失業を知らせることを奨励しています。
今後も情勢がよくならない場合には、「短期公共サービス行動計画」とし、公共機関での短期勤務など、失業期間にも働ける環境と、基本的生活を政府から保証します。
台湾で働く外国人に受給資格はあるのか?
ここまで読んでいただいて、でも外国人だし資格あるの?と思った方。
1988(コロナ給付金・失業手当て窓口)に電話で問い合わせてみたところ、現時点では「中華民国国籍(台湾国籍)を持つ人のみ」に適応だと返事が帰ってきました。
が、この電話回答、間違っている可能性大です。
なぜなら、通常の失業手当や給付金などは外国人でも申請できるからです。
外国人でも、以下の条件に適している被保険者であれば、台湾の労働保険の恩恵を受けることができるんですよ。
1.満15歳から65際歳までで、以下の身分に適合する労働保険に加盟している労働者もしくは雇用主を被保険人とする
2.中華民国の国籍を持つ者(台湾国籍の者)
3.台湾国内に戸籍を持つ者と結婚した者、且つ居留資格を持ち、台湾で合法的に働き労働保険に加入している外国人、中国大陸、および香港、マカオの住民

台湾人の配偶者を持つ外国人だけが恩恵を受けられるみたい
この記事を書いてから、台湾で働く2人の方から「申請できました」「申請できませんでした」の連絡があり、彼らの条件はこんな感じでした。
①日本国籍、台湾人の配偶者ありの女性
②日本国籍、永住権はないが居留証を持ち合法的に台湾で働いて4年の男性
というわけで、窓口で「台湾国籍の人以外はダメ」と言われたものの、実際には台湾労保の被保険者であれば手当てを受けられるようです。
もうひとつ気になるのが、③永住権を持っているけど台湾の配偶者はいない外国人
この場合、どうなんでしょ?どこにも書いてないので誰か試した方いらしたら教えてください。
出典
・失業給付
最後に
今回台湾でのコロナ支援金について調べてみて、手厚くて理にかなった支援になっているな〜と感じました。一回10万円もらうんじゃなくて、毎月保証があるのがよき。
所々、内容間違ってないか不安だったので台湾人何人かに見てもらったら、同じ箇所で「私にも分からん。」「私にも何が言いたいのか分からん」「政府の書き方ややこしい」とか言われたので、結局自分なりに解釈して書くことにしました。笑
日本の給付金もきっと、私が調べていないだけで、知っている人はうまくやっているんだろうな。
うーん。つくづく「正しい情報」や「知識」って大事だなと思います。
ちなみに今回のコロナによる経済崩壊で、台湾の会社はかなり早い段階から福利厚生を削ったり「無薪假」という名の無給与休暇を取らせたりしてます。(無給の休みが強制される=日給が減る仕組み。)
旅行業界やホテル、飲食、航空会社から始まり、今はBtoBで海外向けに物を売る企業の倒産も続いています。

台湾の正社員って何なん?1日休みになったら1日分の給与減るとかバイトかよ?w
まあリストラよりも、会社が決めた無給与休暇のほうが、労働保険そのまま払ってくれるし、労働法と労働保険ににも守られているので100倍いいのだけど。
どの国にも良いところと悪いところがあるだけで、どちらが良いとか悪いとかではないけど、台湾はこんな感じでした〜。
ちなみに、この翻訳がわかりやすくていいな!通訳や翻訳のお仕事お願いしたいな!と思ってくださった方がいらしたら、お問い合わせフォームかTwitterより個別にお問い合わせください〜。(宣伝
もし勤め先が無給与休暇になったら、ごりごり働きます。笑
なんちゃって。
それでは、また〜。
出典:行政院(重要政策)
コメント