住民票は抜いちゃったけど、年金は払ったほうがいいの?
保険証ないけど、一時帰国の時病気になったらどうしよう…
日本社会から離れて長くなると、年金や保険はどうしよう、と悩むことがあると思います。
私の場合は、24歳のときに何の決心もないまま日本を離れ、それからというものの自分でも予想していなかったことに約7年もの時間を台湾で過ごしています。
『日本の社会保障、どうしよう問題』
結論からいうと「自分の置かれた状況によってベストは異なる」。なので、自分で調べて、失敗を重ねながら自分が納得のいく『これ』を見つけるのが正解です。
とはいえ、このご時世、自分と同じように国際結婚して、外国に住む人も多いのでは…。
なので、今回は自分の失敗や経験を元に、私が思う『海外に住む人が維持しておくべき日本の社会保障』について書いてみようと思います。
知っておきたい日本の社会保障2つ
まず、日本にある基本の社会保障を2つおさらいしていきます。
国民健康保険
国民健康保険とは、病気やケガをしたとき、出産したとき、亡くなったときに必要な保険給付を行い、生活の安定を図ることを目的とした制度。
この国民健康保険に加入していることを証明する『保険証』があるおかげで、病気にかかったときに3割負担という破格で医療を受けられます(75歳以上は1割負担です)。
それだけでなく、万が一大病にかかり、高額の治療費がかかった際にも、『高額医療制度』があり、収入に応じて大体月に8万円程度のみの出費で治療を受けられます(もちろん保険適用外の薬もたくさんあるのでその場合はこの限りではありません)。
急に大きな病気にかかったとき、母国で治療できる安心感。そして払い過ぎた分は戻ってくる。普段日本に住んでいなくても、掛け捨ての医療保険としてでも持っておきたいのが『保険証』。
ほかにも、私の属する自治体だと30歳以上で大腸癌の検診が無料、40歳以上で乳がん検診、胃がん検診が無料で受けられたりします。
女性の場合は出産時に出産一時金、また現在は不妊治療の保険適用化なども検討されていますよね。
国民健康保険の種類は、大きく分けて地方自治体が発行しているものと、会社などの組合が発行しているものの2種類があります。保険料や、補償は組合によって少し異なりますが、今書いたような基本の社会保障はどこでも付いてきます。
国民年金
国民年金は、日本に住む20歳以上のすべての人が納付する義務。
一定期間年金を収めると、年金支給開始年齢から死ぬまで、支払った金額以上の年金をもらえる制度。
私が国民年金を納めている主な理由は、もちろん老齢年金にも多少期待はしていますが、これまた掛け捨ての生命保険のようなもので、万が一将来障害をおった場合に、障害年金をもらえることです。
国民年金についてはこちらでも詳しく書いているので、興味があれば合わせてご覧ください。
海外在住者が日本の社会保障を維持するベストはどれ?
さて本題です。
A. 健康保険と国民年金を維持する
今説明した2つの社会保障以外に、『住民票』というキーワードも気になると思います。
住民票がないと、日本の社会保険を保持できない…と思いがちですが、実は住民票を抜いても日本の社会保障を維持する方法がいくつかあります。
- 健康保険:住民票が置かれていないと自治体のものには参加できません。ただ、会社や組合、協会が発行している国民健康保険になら加入することができます。(フリーランスの人は、文美などの組合に年間会員費を払った上で、加入できます。)
- 国民年金:支払う義務はなくなるのですが、任意で支払うことができます。厚生年金の場合もそのまま払い続けることができます。
その上で、住民票を抜き、海外に拠点届けを出します。
外国にある日本大使館にも届け出を出し、何かあれば大使館から連絡が来て、国政選挙も、外国から行うことができます。
なので、これが一番正規で、日本人が安心して海外に住める正しい状態。
で、多くの駐在員がこの状態になります。
自分で勉強して『これがベスト』を導き出す前に、労務や社会保障のプロたちが、これらの手配を完璧に済ませてくれ、日本の社会保障を維持するのに伴う費用を全て支払ってくれるのが駐在員の待遇です。だから海外で働くときに、駐在員になれたら一番安心ではあるよね。
B. 日本から仕事を受けるフリーランスの場合
日本から仕事を受けているものの、生活の全てを海外で過ごしている場合は、『A』の方法を全て自分で手配します。
- 健康保険:業務委託先や、常駐のクライアントさんに協会組合に加入できるよう招待してもらったりします。
- 国民年金:義務ではないですが、月2万円の積立で将来の安心が買えるので支払っておくのが私個人的には良いと思います。
もし、金銭的に余裕があり、日本への滞在時間も比較的長い場合には(年間3ヶ月〜)住民票自体も抜かずに日本においたままほうが何かと便利です。
新しい銀行口座の開設や投資、その他諸々で住民票が日本にあることが条件になることが多い。自治体の健康保険にも加入できる。あと、急に政府が助成金くれるときにも(今回のコロナみたいに)住民票がないと基本もらえないです。
でも住民票が日本にあると、在外選挙ができないという大きなデメリットもあり。あとは、前年の収入に応じた住民税も発生しますが、これは住民票があることの恩恵を受けるなら支払うのが義務だから仕方ないね。
C. 親が現役世代の場合は扶養に入れてもらえる可能性も
ご両親がまだ正社員として働かれている場合、子供が海外に住んでいても、ご両親の扶養として日本の社会保障に加入できる場合があります(子供の日本円収入が、扶養限度を超えない場合)。
健康保険も、年金も厚生保険年金加入者として会社で扶養してくれる場合があります。
20代前半で海外移住した人は、親御さんがこれやってくれてるパターン多いよね!私は色々あってこの選択はできなかったので、親がここまでしてくれている人は当たり前のことじゃないと感謝しましょう
とはいえ、ご両親が65歳で定年になり、正社員を続けないとすると、大体35歳頃までには、自分で日本の社会保障をどう維持するかを考えないといけなくなります(例えばお父さんが30歳のときに生まれた子供だったら、65歳定年時に自分は35歳という計算)。
D. 現地採用かつ日本にあまり帰らない人は
現地採用かつ日本にあまり帰らない人。これが2020年までの私の状況です。
今まではどうしていたかというと、住民票を抜き、国民年金だけ任意で支払い、日本の健康保険は全くない状態。ほとんどの時間を台湾で過ごしていたので、台湾の健康保険で十分だと思っていました。
これが一番、金銭的な負担が少なく、合理的で、楽です。
でも現地採用で最強なのは『C』です。まあいつまでも親には頼れないけれど…。
このままでもよかったんですが、30歳になってから、大きな病気のリスク、それから近い将来子供を授かる機会があるかも、と思い日本の健康保険に加入したくなりました。
私は台湾の会社を辞めてから、一度日本に2ヶ月半ほど帰り『B』の手続きを取りました。台湾で正社員をしていたままだったら、日本の健康保険には加入せず、『D』のままでいたと思います。
最後に
ということで、今の自分の経験でわかる範囲で、海外在住者が日本の社会保障を維持する方法について、まとめてみました。
日本の社会保障を改めて知るために、この辺の本を読みました。
これは、前にも紹介したけど本当に読みやすい!まず初めに読みたい本(というか漫画)
お金の使い方というよりも、社会保障について書かれている本。自分が日本という先進国に生まれていかに恵まれているのか、そして社会のことを何も知らなかったのか実感する。
これは単純に超おもしろいです。要約すると知らない人は損をする
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A〜Dまでのパターンを書きましたが、冒頭でもお伝えしたように自分の置かれている状況や環境によって、何がベストかは異なると思うので、自分で本を読んで、自分の『ベスト』を見つけてみてくださいね♪
それでは、また〜。
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