台湾って大丈夫?日本が助けるからね!と言ってくる人に思うこと

エッセイ

毎年10月に入ると、両岸は「我こそが中国」といったパフォーマンスを世界に披露するように思う。

10月1日は、中国共産党の中華人民共和国であり、10月10日は中国国民党の中華民国(台湾)の国慶節でもあるからだ。

これは毎年のことなのでもはや私などは慣れている。

だけど、毎年この時期になると、日本メディア(とか海外)では他人の不幸は蜜とばかりにいかに『中国が台湾を占領するのか』『台湾が第二の香港になるのか』『台湾がいかに大変な局面にあるのか』を報道する。

これらのニュースをみたであろう日本の家族や友人は、いつも神妙な面持ちで私に声をかけてくる。

日本在住の友人「台湾大変なんだね…、でもいざとなったら日本が助けるって!いつでも力になるからね」

日本在住の家族「台湾と中国が戦争になったらどうしよう…〇〇(私)には帰ってきてほしいけど、旦那さんを置いて帰ってくるなんて無理だよね。あちらに嫁いでしまったんだもんね…本当に心配だよ」…と。

ryo
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…ハァ

自分が言われたらどう感じるか?

本当にこの手の話をしてくるのはやめてほしい。

もちろん、私のことを気にかけてくれるのは嬉しい。みんな、私の大切な親族であり、友人だから。

だけど、本当に心配しているのだろうか?

本当に心配してくれているのだとしたら、もう少し正しい知識を身につけてから、言葉をかけてくれないものだろうか?

お昼に永遠と繰り返されるくだらない情報番組で、関西弁でしゃべるあの人や、どこかの新聞記者がわーわーと繰り返すその質問を、私に遠慮なくぶつけてくるのはやめてくれないだろうか?

そもそも、その情報が『正しい』『正しくない』に限らず

「あなたが今置かれている状況はとても悲惨なようです。でもいざとなったら私たちが助けてあげますよ」

「あなたは将来とても危険な目に遭う可能性があります。でもどうしようもないですね。遠くからとても心配してます」

と言われるのが、本人にとってどれだけ辛いことか、考えたことはないのだろうか?

どうして久しく連絡をとっていない友人からそんなメッセージをもらわないといけないのだろう?

「元気?こちらは寒くなってきて、冬に一緒に登下校してたときのことを思い出すよ」とか、そんな言葉をもらえさえすれば、一瞬で顔がほころぶのに。

台湾有事は実際に起こるのか?私の考え

では、日本のワイドショーを騒がせている『台湾有事』は、近い将来、本当に台湾に住む人たちに危険を及ぼすのだろうか?

正直言って『絶対にない』『そんなのは嘘だからテレビの嘘を信じるな』と、家族や友人にいうことはできない。だから『あるかもしれないし、ないかもしれない。分からない』というしかない。

だって、未来のことなんて誰にも予測できないから。

世界を鎖国状態にさせたコロナウイルスの蔓延を、どの世界のお偉いさんが言い当てただろう?予測できただろう?

未来を正確に予測することができるのであれば、そもそも世界恐慌など起きないのではないか。

中国ほどの大国が、台湾へ武力行使しようと思えば、実際には1時間も掛からずに台湾を制圧してしまえると言われている。

だけど、中国は本当にそんなことをするだろうか?一体何のために?

それこそ中国が動きを見せるのはいつだって、日米(というか主に米国)が台湾を守るという名目で利用するときなのに。

『わからない』というと、日本の知り合いたちは血相を変えて心配する。

『日本に帰ってきなさい』と。安全で綺麗で豊かな母国に。

私は確かに今、外からみれば政治的に不安定な台湾で暮らしているように見えるかもしれない。

しかし台湾での暮らしは私にとって何不自由ないばかりか、この隣国に囲まれた小さな東アジアの島国に、将来への期待すら感じられる。

自分にとっては快適な家に住み、家のすぐそばにある地下鉄にサッと乗って、その日に食べたいものを好きなだけ食べる。優しい夫と、誰もが抱えているような苦悩や、楽しみを感じながら毎日なんとなく、幸せに暮らしている。

そして未来は不透明で予測できないものだと海外生活を通して学んだので、母国の日本円以外に生活の中心である台湾ドルはもちろん、米ドルや人民元や、株式にも資産を分散している。

中国語は10年近く学び現地に住んでいるから新聞や本を読むのに苦労はないし、英語もそれなりに話せるのできっと健康でさえいれば、世界のどこでも、いや万が一、アメリカが全世界を領土にしたとしても、または中国になったとしても、きっとなんとか生きていけるだろうと思っている。

大袈裟なことを言ったけれど、それくらい、自分の将来のことはそれなりに考えているのだ。

だから、起こるかも分からないことを心配して、気持ちを暗くさせないでほしい。

その人にとってマイナスな言葉を、安易にかけないでほしい。マイナスな言葉は積もり積もって私の自己肯定感を削いでいくのだから。

ryo
ryo

私もこの気持ちを忘れず、他人と向き合わないといけない

なぜ中国がそんなにお嫌い?

「とはいえさ、中国になってしまったら何の自由もないんだよ」とみんな口を揃えていう。

テレビに映し出される一時期の香港での警察官の暴行の様子はとても怖い。でも、それだけが中国なんだろうか?

本当に中国に何の自由もないのなら、今中国に住んでいる日本人の人たちは皆不幸なのか?

中国に20年以上住んでいる私の父親は、言論の自由がない不幸な老人なの?

では中国にこんなに多くの外国人が住んでいるのは、なぜ?何のメリットもない場所にわざわざ外国人が住むのはなぜ?

私は、コロナ前1年に2度も3度も中国大陸を仕事や父に会うプライベートな理由のために訪れていた。

20代のときは1年間、学生という身分で中国の上海に住みバブルを経験したし、2019年の12月に最後に入国したときも、VPNを使えばいくらでも海外の情報を入手することができた。

中国に行く前と、行ったあとでは『中国』という国に対する印象が大きく変わった。

日本国内でマスコミが報道している『中国』が、いかに切り取られた一部でしかないことを思い知った。

もちろん『中国はいい国です!日本は間違っています』などというつもりは全くない。そうは思わないし。

ただ一つ思うのは、日本人は2021年の、今の中国の実態を知らなすぎると思う。隣国なのに。

まずは自分の目で見てほしい。見て、行って、体験してほしい。そして自分の中で自分の基準を作ればいい。

その価値観は、決して誰かに押し付けず、自分がわかってさえいればそれでいい。だって誰しも他人の人生に口を出す必要はないのだから。

台湾が好き。だから日本人の知らない台湾も届けたい

さて、話を台湾に戻すが、一般的に「親台」と言われる日本人もまた、2021年の台湾の実情を知らなすぎると思う。

これは私の周辺だけの話なのかもしれないが、台湾を「日本が守ってあげるもの」などと上からみている日本人は非常に多い。

そして「安くて、ノスタルジックで、親日な国」だと思っている人もとても多い。

一言では言えないが、台湾は『安い国』ではない。

不動産や車は日本の1.5〜2倍はするし、ノスタルジックな街並みが残っているのは「経済発展が遅れているから」などという単純な理由ではなく、高度な民主主義(個人の権利強いンゴ)と資本主義(貧富の差激スィ)の結果であるという一面もある。

今回コロナ対策で脚光を浴びた台湾だが、こういった日本人の知らない(もしくは知りたくない)「台湾の一面」を、私はこれからもブログやSNSで発信していきたいと思う。

日本人が、アジアの隣国にリスペクトを持ってくれることを、沖縄から少し南にあるこの台湾という国で、私は願っている。

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